エンコーダ付きDCモータPID制御の実験-haya_imu応用例

はじめに

DCモータに対する、PID制御とは、制御量(本文では減速機出力シャフトの回転速度、角速度といい)と、目標値(本文ではターゲット回転速度、目標角速度といい)の差分(本文ではエラーといい)を無くすための操作量(PWMパルス出力)に関わる、P(比例)制御、I(積分)制御、D(微分)制御をかけるとのこと。ロータリエンコーダは回転速度を安易に計算可能な要素(A相/B相パルス)を提供する、常用デバイスとして利用される。本実験の趣旨としては、回転速度の計算ベースとなる、エンコーダのA/B相パルスは正しく計測されたかどうか、またPID制御の精度、確度を評価するに当たって、他のデバイス、本実験ではhaya_imu(ICM-42688、MMC5983MA内蔵)を活用して評価すること。

実験環境

●12V入力DCブラシモータ
●12V出力DC電源(Motor Shieldへ給電)
●磁気式エンコーダ
●Arduino Leonardo正規品基板
●Adafruit Motor Shield v1.2互換基板(ライブラリ修正あり、Timer3A/D5-pin/PWM周波数を4KHzへ変更済み)
●9軸センサhaya_imu v3.2
●Raspberry Pi 3 Model-B(ROS Slave、Unbuntu20.04/Noetic、haya_imuへ接続)
●5V出力DC電源(Raspberry Piへ給電)
●Lenovo L560(ROS Master、Unbuntu18.04/Melodic、Arduino Leonardoへ接続)

haya_imu用いてDCモータPID制御評価環境
haya_imu用いてDCモータPID制御評価環境

開発要素

ROSパッケージ

以下ROSパッケージ、ROSカスタムメッセージまたはライブラリをインストールして、catkin_makeしておく。

rosserial
haya_motor_ros
haya_imu_ros
ros_lib by rosserail_arduino with Arduino IDE
Adafruit-Motor-Shield-library-leonardo
arduino_node(ino) on Leonardo with Arduino IDE 

ROSノード

/arduino_haya_motor
/haya_imu_node
/haya_motor_node
/rosout
/rqt_plot

ROSトピック

/arduino_msg
/diagnostics
/haya_angular_velocity_z
/imu_data
/pid_params
/rosout
/rosout_agg

ROSカスタムメッセージ

haya_imu_ros/ImuData
haya_motor_ros/ArduinoMsgs
haya_motor_ros/PidMsgs

ROSノードの相互作用状況

エンコーダ付きDCモータPID制御の実験-ROS node & ROS topic
エンコーダ付きDCモータPID制御の実験-ROS node & ROS topic

Arduinoノード

エンコーダA相パルス割込みハンドラ

  if (digitalRead(ENCODER_A) != digitalRead(ENCODER_B)) {
    current_counter++;
  }
  else {
    current_counter--;
  }

エンコーダB相パルス割込みハンドラ

  if (digitalRead(ENCODER_A) == digitalRead(ENCODER_B)) {
    current_counter++;
  }
  else {
    current_counter--;
  }

エンコーダカウンタによる回転速度

// Run the PID loop at 100 times per second
#define PID_RATE_HZ 10 // 10Hz
// Convert the rate into an interval
#define PID_INTERVAL_MS (1000 / PID_RATE_HZ) // 10ms
#define PID_INTERVAL_S (float)(1.0 / PID_RATE_HZ) // 0.1s
#define PPR 12 // Encoder pulse / round
#define COUNTER_FACTOR 4 // 1*encoder-pulse = 4*counter
#define REDUCTION_RATIO 100 // Gear reduction ratio
#define CPR (PPR * COUNTER_FACTOR * REDUCTION_RATIO) // Counters of encoder / round
current_velocity = (current_counter - previous_counter) * 360.0 / (CPR * PID_INTERVAL_S);

PID係数

本実験環境で何回も実験を繰り返して、納得いくPID係数Kp、Ki、Kdを決めておく。

PID操作量

●Position法

  error = target_velocity - current_velocity;
  integral += error * PID_INTERVAL_S;
  differential = (error - previous_error) / PID_INTERVAL_S;
  previous_error = error;
  pwm = (int32_t)(Kp * error + Ki * integral + Kd * differential);

●Increment法

  error = target_velocity - current_velocity;
  proportion = Kp * (error - previous_error);
  integral = Ki * error * PID_INTERVAL_S;
  differential = Kd * (error - 2 * previous_error + previous_error2) / PID_INTERVAL_S;
  pwm += (int32_t)(proportion + integral + differential);
  previous_error2 = previous_error;
  previous_error = error;

実験手順

Run roscore

Run roscore@ROS Master

roscore

Launch haya_imu_node

Launch haya_imu_node@ROS Slave

roslaunch haya_imu_ros haya_imu.launch

Launch haya_motor_node

Launch haya_motor_node@ROS Master

roslaunch haya_motor_ros haya_motor.launch

結果確認

PID制御の目標値、制御量

以下のデータを表示させて、エンコーダ、IMUからのカウンタによる回転速度を確かめて、PID係数Kp、Ki、Kdを決めてまた、エンコーダまたは、PID制御を評価する。PWM周波数をデフォルトの490Hzから4KHzに変更することで回転速度の分散は小さくなっている。これは490Hzより4KHz周波数のほうはモータにブレーキをかけずにPWM波形は滑らかになって果たしてモータ出力シャフトの回転速度も滑らかになったわけである。

/haya_angular_velocity_z 
/pid_params/target_velocity
/arduino_msg/current_velocity
PID制御の目標値、エンコーダによる回転速度、haya_imu測った回転速度曲線
PID制御の目標値、エンコーダによる回転速度、haya_imu測った回転速度曲線

haya_imuで測った回転速度が、エンコーダによる回転速度より分散が大きくなって、これは測定法および測定ポジションは違って、またモータシャフトによる振動や、慣性力に由来するものと考えられる。

PID制御の目標値、制御量、操作量

PID制御の目標値、PWM操作量、エンコーダによる回転速度

PID制御の目標値、PWM操作量、エンコーダによる回転速度
PID制御の目標値、PWM操作量、エンコーダによる回転速度

PID制御の操作量PWM波形

オシロスコープは測った操作量PWMの波形、モータコイルに起因する逆起電力による、コイルサージは約-14Vあったと、モータシールド実装モータドライバL293Dにコイルサージ(逆起電流)を流すダイオードが効いていると考えられる。ないと一瞬-12Vの数十倍~-1千万V(無限大)に達する可能性ある。これで回路で繋がっているデジタルICを一発でぶち壊すことになる。

PID制御の操作量PWM波形
PID制御の操作量PWM波形

エンコーダ出力パルス波形

約1/10の確率でノイズに起因するスパイクが起きるらしいので、MCUにノイズフィルタ実装の入力PINは望ましい。

エンコーダパルス波形ノイズスパイクあり
エンコーダパルス波形ノイズスパイクあり

リポジトリ

haya_motor_ros、arduino_node、修正ありMotor Shieldライブラリ含むリポジトリは、https://github.com/soarbear/haya_motor_ros に公開済み(BSD 3-Clause License)

最後に

IMUはモータシャフトでなくロボット本体に装着した場合、エンコーダのみならずLidar、カメラ、GPS他のセンサーとフュージョンする場合多い。

参考記事

ロータリエンコーダによる速度計算
9軸センサーICM-42688+MMC5983 6軸&9軸回転ベクトル&3軸オイラー角 MAX1000Hz同時出力 ROS/ROS2対応 USB接続

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エンコーダ付きDCモータPID制御の実験-hayate_imu応用例

はじめに

DCモータに対する、PID制御とは、制御量(本文では出力減速機シャフトの回転速度、角速度といい)と、目標値(本文ではターゲット回転速度、目標角速度といい)の差分(本文ではエラーといい)を無くすための操作量(PWMパルス出力)に関わる、P(比例)制御、I(積分)制御、D(微分)制御をかけるとのこと。ロータリエンコーダは回転速度を安易に計算可能な要素(A相/B相パルス)を提供する、常用デバイスとして利用される。本実験の趣旨としては、回転速度の計算ベースとなる、エンコーダのA/B相パルスは正しく計測されたかどうか、またPID制御の精度、確度を評価するに当たって、他のデバイス、本実験ではhayate_imu(ICM-20948内蔵)を活用して評価すること。

実験環境

●12V入力DCブラシモータ
●12V出力DC電源(Motor Shieldへ給電)
●磁気式エンコーダ
●Arduino Leonardo正規品基板
●Adafruit Motor Shield v1.2互換基板(ライブラリ修正あり、Timer3A/D5-pin/PWM周波数を4KHzへ変更済み)
●9軸センサhayate_imu v2.4
●Raspberry Pi 3 Model-B(ROS Slave、Unbuntu20.04/Noetic、hayate_imuへ接続)
●5V出力DC電源(Raspberry Piへ給電)
●Lenovo L560(ROS Master、Unbuntu18.04/Melodic、Arduino Leonardoへ接続)

hayate_imu用いてDCモータPID制御評価環境
hayate_imu用いてDCモータPID制御評価環境

開発要素

ROSパッケージ

以下ROSパッケージ、ROSカスタムメッセージまたはライブラリをインストールして、catkin_makeしておく。

rosserial
hayate_motor_ros
hayate_imu_ros
ros_lib by rosserail_arduino with Arduino IDE
Adafruit-Motor-Shield-library-leonardo
arduino_node(ino) on Leonardo with Arduino IDE 

ROSノード

/arduino_node
/hayate_imu_ros
/hayate_motor_node
/rosout
/rqt_plot

ROSトピック

/arduino_msg
/diagnostics
/hayate_angular_velocity_z
/imu_cali
/imu_data
/imu_demo
/pid_params
/rosout
/rosout_agg

ROSカスタムメッセージ

hayate_imu_ros/ImuCali
hayate_imu_ros/ImuData
hayate_motor_ros/ArduinoMsgs
hayate_motor_ros/PidMsgs

ROSノードの相互作用状況

エンコーダ付きDCモータPID制御の実験-ROS node & ROS topic
エンコーダ付きDCモータPID制御の実験-ROS node & ROS topic

Arduinoノード

エンコーダA相パルス割込みハンドラ

  if (digitalRead(ENCODER_A) != digitalRead(ENCODER_B)) {
    current_counter++;
  }
  else {
    current_counter--;
  }

エンコーダB相パルス割込みハンドラ

  if (digitalRead(ENCODER_A) == digitalRead(ENCODER_B)) {
    current_counter++;
  }
  else {
    current_counter--;
  }

エンコーダカウンタによる回転速度

// Run the PID loop at 100 times per second
#define PID_RATE_HZ 10 // 10Hz
// Convert the rate into an interval
#define PID_INTERVAL_MS (1000 / PID_RATE_HZ) // 10ms
#define PID_INTERVAL_S (float)(1.0 / PID_RATE_HZ) // 0.1s
#define PPR 12 // Encoder pulse / round
#define COUNTER_FACTOR 4 // 1*encoder-pulse = 4*counter
#define REDUCTION_RATIO 100 // Gear reduction ratio
#define CPR (PPR * COUNTER_FACTOR * REDUCTION_RATIO) // Counters of encoder / round
current_velocity = (current_counter - previous_counter) * 360.0 / (CPR * PID_INTERVAL_S);

PID係数

本実験環境で何回も実験を繰り返して、納得いくPID係数Kp、Ki、Kdを決めておく。

PID操作量

●Position法

  error = target_velocity - current_velocity;
  integral += error * PID_INTERVAL_S;
  differential = (error - previous_error) / PID_INTERVAL_S;
  previous_error = error;
  pwm = (int32_t)(Kp * error + Ki * integral + Kd * differential);

●Increment法

  error = target_velocity - current_velocity;
  proportion = Kp * (error - previous_error);
  integral = Ki * error * PID_INTERVAL_S;
  differential = Kd * (error - 2 * previous_error + previous_error2) / PID_INTERVAL_S;
  pwm += (int32_t)(proportion + integral + differential);
  previous_error2 = previous_error;
  previous_error = error;

実験手順

Run roscore

Run roscore@ROS Master

roslaunch haya_imu_ros haya_imu.launch

Launch hayate_imu_node

Launch hayate_imu_node@ROS Slave

roslaunch hayate_imu_ros hayate_imu.launch

Launch hayate_motor_node

Launch hayate_motor_node@ROS Master

roslaunch hayate_motor_ros hayate_motor.launch
rqt_graph

結果確認

PID制御の目標値、制御量

以下のデータを表示させて、エンコーダ、IMUからのカウンタによる回転速度を確かめて、PID係数Kp、Ki、Kdを決めてまた、エンコーダまたは、PID制御を評価する。PWM周波数をデフォルトの490Hzから4KHzに変更することで回転速度の分散は小さくなっている。これは490Hzより4KHz周波数のほうはモータにブレーキをかけずにPWM波形は滑らかになって果たしてモータ出力シャフトの回転速度も滑らかになったわけである。

/hayate_angular_velocity_z 
/pid_params/target_velocity
/arduino_msg/current_velocity
PID制御の目標値、エンコーダによる回転速度、hayate_imu測った回転速度曲線
PID制御の目標値、エンコーダによる回転速度、hayate_imu測った回転速度曲線

hayate_imuで測った回転速度が、エンコーダによる回転速度より分散が大きくなって、これは測定法および測定ポジションは違って、またモータシャフトによる振動や、慣性力に由来するものと考えられる。

PID制御の目標値、制御量、操作量

PID制御の目標値、PWM操作量、エンコーダによる回転速度

PID制御の目標値、PWM操作量、エンコーダによる回転速度
PID制御の目標値、PWM操作量、エンコーダによる回転速度

PID制御の操作量PWM波形

オシロスコープは測った操作量PWMの波形、モータコイルに起因する逆起電力による、コイルサージは約-14Vあったと、モータシールド実装モータドライバL293Dにコイルサージ(逆起電流)を流すダイオードが効いていると考えられる。ないと一瞬-12Vの数十倍~-1千万V(無限大)に達する可能性ある。これで回路で繋がっているデジタルICを一発でぶち壊すことになる。

PID制御の操作量PWM波形
PID制御の操作量PWM波形

エンコーダ出力パルス波形

約1/10の確率でノイズに起因するスパイクが起きるらしいので、MCUにノイズフィルタ実装の入力PINは望ましい。

エンコーダパルス波形ノイズスパイクあり
エンコーダパルス波形ノイズスパイクあり

リポジトリ

hayate_motor_ros、arduino_node、修正ありMotor Shieldライブラリ含むリポジトリは、https://github.com/soarbear/hayate_motor_ros に公開済み(BSD 3-Clause License)

最後に

IMUはモータシャフトでなくロボット本体に装着した場合、エンコーダのみならずLidar、カメラ、GPS他のセンサーとフュージョンする場合多い。

参考記事

ロータリエンコーダによる速度計算
9軸IMUセンサ 6軸/9軸フュージョン 低遅延 USB出力 補正済み ROS対応

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9軸センサーICM-42688 + MMC5983MA vs. ICM-20948

概要

ICM-20948はInvensense社の6軸IMUと、AKM社の3軸地磁気センサAK09916を組み合わせた9軸センサと知られている。ICM-20948の後継機種はICM-42688(ICM-42688-V、ICM-42688-P含む)で、但しICM-42688に3軸地磁気センサが実装されておらず、MEMSIC社のAMR方式3軸地磁気センサMMC5983MAを補足して、つまりICM-42688とMMC5983MAを組み合わせた9軸センサと、旧型機種ICM-20948の公開規格の比較を行ってみた。「未公表」とは、センサICメーカがデータ未公表ということを意味する。

測定レンジ

ItemICM-20948ICM-42688AK09916MMC5983
加速度±16g±16g--
角速度±2000dps±2000dps--
磁束密度--±4900µT
ホール方式
±800µT
AMR方式

※参考データ: 地磁気の強さは約50uTである。

分解能

ItemICM-20948ICM-42688AK09916MMC5983
加速度16-bits18-bits--
角速度16-bits19-bits--
磁束密度--16-bits18-bits

※ICM-42688、MMC5983MAの分解能・感度は優れるとされる。

ノイズレベル

ItemICM-20948ICM-42688AK09916MMC5983
加速度230µg/√Hz
@10Hz
70µg/√Hz
@10Hz
--
角速度15mdps/√Hz
@10Hz
2.8mdps/√Hz
@10Hz
--
磁束密度--8mG0.4-1.2mG
total RMS

※ICM-42688、MMC5983MAのノイズレベルは低減とされる。

MAX出力レート

ItemICM-20948ICM-42688AK09916MMC5983
加速度225Hz
FIFO
MAX
1000Hz
FIFO
MAX
--
角速度225Hz
FIFO
MAX
1000Hz
FIFO
MAX
--
磁束密度--70Hz
MAX
1000Hz
MAX

※ICM-42688、MMC5983MAのMAX出力レートは優れるとされる。

確度・精度

ItemICM-20948ICM-42688AK09916MMC5983
確度未公表YAW Error
<±1°
Dynamic
未公表未公表
精度未公表未公表未公表YAW
±0.5º
@BW=00
±1.0º
@BW=11

※ICM-42688の確度、MMC5983MAの精度は優れるとされる。

製品化について

以上公表データおよび、当社の実験データに基づいて、ICM-42688とMMC5983MAとのコンビネーションを製品化した。詳細スペックについては、以下関連記事をご参照ください。

参考資料

ICM-42688-V データシート
MMC5983MA データシート
ICM-20948 データシート

関連記事

9軸センサーICM-42688+MMC5983 6軸&9軸回転ベクトル&3軸オイラー角 MAX1000Hz同時出力 ROS/ROS2対応 USB接続

あとがき

今回開示したスペックデータは、センサメーカの開示資料からの摘要である。

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STM32G4 FD-CAN in Normal Mode

はじめに

車載ネットワークの主流バスとしてCAN(Controller Area Network)とFD-CAN(FDCAN/CANFD/CAN-FD/CAN with Flexible Data rate)、IEEE11898で規格化されているCANの通信速度は最大で1Mbpsであり,同じくCAN FDでは最大5Mbps(ただし,IEEEの規格上では最大2Mbps)となっている。とはいえ、8MbpsはFD-CANの通信速度としても可能だという。今後CANはFD-CANに置き換えられると予想される。STM32ファミリーには、STM32G0、STM32G4、STM32H7、STM32L5、STM32MP1シリーズはFD-CANコントローラ内蔵で、別途FD-CANトランシーバだけを用意すると良い。今回はSTM32G474とMicrochip製FD-CANトランシーバのMCP2562FDを使ってFD-CANの送受信を確かめていこう。

テスト環境

・IDE環境 STM32CubeIDE 1.12.0 @UBUNTU 22.04(iMACの画面は大きく、スクリーンショットの字は小さく写るため予めご容赦ください)
・マイコン/評価ボード STM32G474(FD-CAN1&FD-CAN2) / NUCLEO-G474RE(MB1367C) x 1pcs
・FD-CANトランシーバ MCP2562FD x 2pcs
・差動線FD-CAN_H、FD-CAN_Lを跨ぐ抵抗器  120R x 2pcs
・デカップリング用コンデンサ  0.1uF x 4pcs
・差動波形観察 オシロスコープ

確認内容

・FD-CAN1、FD-CAN2と往復ピンポン送受信確立
・差動信号の波形、データスループット=2Mbps

配線関連

FD-CAN周辺の回路図は以下のとおり掲載しておく。

stm32g474-mcp2562fd-fdcan-schematic
stm32g474-mcp2562fd-fdcan-schematic

実の配線済みテストセットの写真を以下のとおり掲載しておく。

stm32g4-fdcan-test-connection
stm32g4-fdcan-test-connection

マイコン設定

STM32CubeIDEのioc/Pinout & Configuration/Sys Mode and Configuration、Pinout View、ioc/Clock Configrationを以下のとおり掲載しておく。

stm32g4-fdcan-ioc
stm32g4-fdcan-ioc

stm32g4-fdcan-clock
stm32g4-fdcan-clock

FD-CAN設定

FD-CAN関連パラメータの値は、唯一ではなくスループットとサンプリングポイントの兼ね合いを見ながら、STM32CubeIDEが受け入れるまで調整していく。実に使用したパラメータは、以下のとおり掲載しておく。パラメータの計算また調整は、KVASER(オンライン計算サイト)を利用すると便利になる。ただし、Frequency=FD-CANクロック周波数、上図から抽出して、Tolerance=FD-CANクロック周波数公差、本文ではHSIによる値でSTM32G474のデータシートから抽出して、Node Delay= FD-CANトランシーバ遅延(厳密ではない)、本文ではMCP2562FDのデータシートから予め抽出しておく。

stm32g474-fdcan-parameters
stm32g474-fdcan-parameters

決まったパラメータの値は、以下のとおり入力しておく。Nominal Field、Data Fieldに関わるパラメータは別々、FD-CAN2とFD-CAN1のパラメータは同じなので、コピペして良い。

stm32g4-fdcan-parameter
stm32g4-fdcan-parameter

stm32g4-fdcan-fdcan1-interrupt
stm32g4-fdcan-fdcan1-interrupt

リポジトリ

STM32プロジェクトはリポジトリとして、github.com/soarbear/stm32g4-fdcanに公開済み。

送受信データ

FD-CAN2においてFD-CAN1から送信した32バイトデータを受信して、それらのデータに1を足して、FD-CAN1に返す。FD-CAN1においてFD-CAN2から送信した32バイトデータを受信して、それらのデータに1を足して、FD-CAN1に返す。このようにやり取りを繰り返す。受信したデータは以下のとおり掲載しておく。NUCLEOにST-LINKデバッガはオンボードなので、別途ST-LINKデバッガ、シリアルケーブル使わなくても、SWV ITM ConsoleつまりSTM32CubeIDEコンソールにデータを表示させることにした。それに伴ってSWV/SWOの設定は必要になる。SWV/SWOの設定については、本サイトの関連記事「SWO/SWV with STM32CubeIDE」をご参考にしてください。

stm32g4-fdcan-normalMode-rxData
stm32g4-fdcan-normalMode-rxData

差動波形

FD-CAN_H、FD-CAN_Lの差動波形は以下のとおり掲載しておく。

stm32g474-fdcan-wave
stm32g474-fdcan-wave

データビットタイムは0.5usと確認できたので、データフィールドのスループットは2Mbpsと推定される。また、残件事項として他のパラメータAuto Retransmission、Transmit Pauseはとりあえず、Disableにしておいたので、他の機会で動作確認することにする。

参考資料

・「車載ネットワーク入門」、インターフェース2021年12月号
・「NUCLEO-G4 User Manual」、ST Electronics
・「MCP2561/2FD フレキシブル データレート対応高速 CAN トランシーバ」、MICROCHIP
・「Datasheet – STM32G474xB STM32G474xC STM32G474xE」、ST Electronics

あとがき

FD-CAN規格のパラメータは多く、開発に当たって決して短時間で決められるものではない、設計要件に合わせて実験を重ねて確認していく必要がある。

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9軸センサーICM-42688+MMC5983 6軸&9軸回転ベクトル&3軸オイラー角 MAX1000Hz同時出力 ROS/ROS2対応 USB接続

はじめに

令和3年度発売の旧型機種のhayate_imu v2は多くの企業、学校法人のユーザー様にご利用いただいたことに、厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。旧機種はv2.4までとリリースさせていただいておりますが、いまユーザー様のお手元にある旧バージョン製品のファームバージョンアップは、ユーザー様のもとで実施可能なので、詳細については、別途順次ご案内申し上げます。昨今の半導体ショックにより供給不足、価格高騰などの影響を受ける中、後継機種の開発を続けてきた結果、令和5年4月下旬より、9軸IMU/AHRS haya_imu v3.2の発売をお知らせさせていただきます。

製品紹介

Cortex-M4 (クロック周波数120MHz)、新型6軸IMUのICM-42688、高精度3軸AMR方式地磁気センサMMC5983MAの実装により、通常出力モード、デモストレーションモード、キャリブレーションモード(初期バイアス測定)、6軸フュージョン回転ベクトルクォータニオン、9軸フュージョン回転ベクトルクォータニオン、3軸オイラー角の同時出力は最大1000Hzまで可能となります。ROS/ROS2とも対応しており、ドライバーはGithubよりダウンロードして製品とセットでご利用いただけます。

主な仕様

・型番 haya_imu v3.x
・内蔵チップ Microchip Cortex-M4(120MHz)、ICM-42688-VまたはICM-42688-P、MMC5983MA実装
・外部接続 USB2.0+ Type-C、USB+5V給電
・最大出力レート
  - 6軸/9軸フュージョン回転ベクトル四元数 1000Hz
  - 3軸オイラー角  1000Hz
  - 3軸加速度(アクセル)データ  1000Hz
  - 3軸角速度(ジャイロ)データ  1000Hz
  - IMU内部温度データ      1000Hz
  - 3軸地磁気(コンパス)データ  500Hz

・測定レンジ
  - 加速度(アクセル)センサ  ±8g
  - 角速度(ジャイロ)センサ  ±2000dps
  - 地磁気(コンパス)センサ  ±800µT

・バイアス測定補正 初期バイアス測定、動作時即時測定、内蔵補正機能あり
・消費電力 150mW以下(環境温度21℃ 実測値)
・寸法 38.0mm × 39.0mm × 4.8mm(突起物含む)
・取付穴 M3x4、隣り合う穴の中心間距離32.0mm

主な特長

・サービスモード 通常出力モード、デモンストレーションモード、キャリブレーションモード
・結果出力 6軸フュージョン回転クォータニオン、9軸フュージョン回転クォータニオン、3軸オイラー角1KHzまで同時出力、結果出力レートに関わらずIMU/地磁気センサのデータサンプリング周波数、フュージョン周波数は常に1000Hz/500Hzに設定済み
・初期バイアス測定 使用環境変化あった際に利用可能なキャリブレーションモードで最短数分程度で初期バイアス測定完了、MCUフラッシュに自動的に保存して、動作時に読み込んで即時バイアス測定&補正あり
・地磁気センサ温度補償 地磁気センサは、計測時間1msにわたるセットリセット計測(温度補償機能)使用済み
・磁気外乱による干渉 受けにくいことが当社実験(磁束密度約2G)にて確認済み
・ROS/ROS2対応 本体にはROS/ROS2ライブラリを実装せず、対向装置にドライバーインストールにより実現

詳細情報

【製品名称】haya_imu v3.x
【開発会社】ROBOT翔(株式会社翔雲)
【発売時期】令和5年4月下旬頃
【商品情報】9軸センサー6軸&9軸回転ベクトル 3軸オイラー角 MAX1000Hz同時出力 ROS/ROS2対応 USB接続 | ROBOT翔

参考情報

エンコーダ付きDCモータPID制御の実験-haya_imu応用例

3+

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